高校生から目指す
パイロットへの道
高卒から動ける
ただ時間を失う
高卒でパイロットを目指すことは可能だ。ただし、「どのルートで・いつから・何時間を積むか」を設計できているかどうかで、結果は180度変わる。
この記事では、高卒から使える4つのルートと、実際にカナダ・オーストラリアで見てきた現場の現実を書く。耳障りのいいことだけ書くつもりはない。
高卒パイロットが選べる4つのルート
高卒からパイロットを目指すルートは、大きく4つあります。どれが正解かは人によって違います。ただし、選択を間違えると時間とお金を両方失います。それぞれの特徴を正直に書きます。
私立大学
航空学科
東海大学・桜美林大学・第一工科大学が代表校です。大学在学中にCPLまで取得できるカリキュラムが組まれています。国内で完結する安心感はありますが、費用は全ルート中最高水準です。
海外大学・
Diplomaプログラム
カナダ・オーストラリアのカレッジやディプロマプログラムに進学しながらライセンスを取得するルートです。英語環境での訓練になるため、語学力と適応力が求められます。
航空大学校
※高卒直行は不可
受験資格に「大学2年修了(62単位以上)」が必要なため、高校卒業直後には受験できません。目指すなら大学進学との併用が前提になります。
パイロット留学
(航空留学)
高卒直後からカナダ・アメリカ・オーストラリアのフライトスクールへ進み、現地でCPLまで取得するルートです。最も早く飛行時間を積み始められ、現地での就労・キャリア継続も可能です。
⚠️ 航空大学校について正直に書きます
航空大学校は費用面で魅力的に見えますが、受験資格に「大学2年修了(62単位以上)」が必要です。つまり高卒直後に受験することはできません。「高卒でも目指せる」と書いているサイトをよく見かけますが、厳密には正確ではありません。目指すなら大学進学との2段構えが前提になります。
各ルートの詳細と特徴
4つのルートそれぞれについて、費用・期間・向いている人・弱点を正直に解説します。「なんとなく良さそう」で選ぶのが一番危険です。
私立大学航空学科(東海大・桜美林大・第一工科大)
国内の大学に在籍しながらCPL(事業用操縦士)取得を目指すルートです。訓練は提携フライトスクール(アメリカ・カナダなど)で行われるケースが多く、大学卒業と同時にライセンスを取得できる仕組みが整っています。自社養成試験を視野に入れるなら「大卒」資格も同時に得られる点がメリットです。
- 大卒資格とライセンスを同時取得
- 国内で手続きが完結しやすい
- 自社養成の受験資格を満たせる
- 同期・仲間ができやすい
- 費用が全ルート中最高水準
- 訓練の質・量は学校による
- 飛行時間の積み方が受け身になりがち
- 卒業後の就職は自力での活動が必要
国内環境で安心して進めたい方、自社養成への挑戦を視野に入れている方、家族の理解を得やすい形で進めたい方に向いています。ただし費用の準備は必須です。
海外大学・Diplomaプログラム(カナダ・オーストラリア)
カナダやオーストラリアのカレッジが提供するDiploma(準学士相当)プログラムに進学しながら、航空ライセンスを取得するルートです。英語環境で学業と訓練を同時に進めるため負荷は高いですが、現地での就労・キャリア継続という選択肢が生まれます。
📋 入学条件にPPL取得が求められるケースがあります
カナダ・オーストラリアのDiplomaプログラムでは、入学時点でPPL(自家用操縦士免許)の保有を条件としているコースがあります。そのため、高校在学中から訓練を進め、卒業までにPPLを取得してから入学する高校生が増えています。早く動き始めた分だけ選択肢が広がるルートです。高校生のうちから動けるかどうかが、このルートの分かれ目です。
- 英語力と訓練を同時に伸ばせる
- 現地就労・永住の選択肢がある
- 私大より費用を抑えられるケースも
- 国際的なネットワークが築ける
- 入学前にPPL取得が必要な場合あり
- 学業と訓練の両立は体力的にきつい
- 日本の大卒資格とは異なる扱い
- 現地生活の自己管理が必要
英語環境に飛び込む覚悟がある方、日本に戻らない選択肢も持ちながら動きたい方、高校在学中からすでに動き始めている方に向いています。
航空大学校(宮崎)
航空大学校は国内唯一の国立航空士養成機関で、費用面では他のルートより抑えられています。しかし受験資格に「大学2年修了以上(62単位以上取得)」が必要なため、高校卒業直後に進学することはできません。「高卒でも目指せる」と書かれているサイトもありますが、正確には「大学2年を経てから受験できる」ルートです。
大学進学と航空大学校受験を最初から組み合わせて計画する必要があります。2年間で62単位を取りながら筆記・身体検査・面接を突破する準備を並行して進めることになります。狭き門であることは覚悟してください。
パイロット留学(航空留学)
高校卒業直後にカナダ・アメリカ・オーストラリアのフライトスクールへ進み、PPL・CPL・IFR・Multi-Engineと段階的にライセンスを取得していくルートです。学歴要件がなく、最も早く「飛行時間を積み始める」ことができます。現地でCFI(教官)や航空会社就職へとキャリアを続けることも可能です。
- 最も早く飛行時間を積み始められる
- 現地就労・キャリア継続が可能
- 学歴不問で即スタートできる
- 英語力が実戦で身につく
- 日本の大卒資格は得られない
- 自己管理・精神的自立が必須
- 日本帰国後の就職設計が必要
- 資金調達を自分で動く必要がある
1日でも早く空を飛び始めたい方、海外でキャリアを築く選択肢を持ちたい方、学歴よりも飛行時間と実力で勝負したい方に向いています。覚悟と自己管理ができる人に最もリターンが大きいルートです。
諸外国と日本の「学歴観」は根本的に違う
「高卒でパイロットになれるのか」という問いへの答えは、どの国の基準で考えるかによって全く変わります。カナダ・アメリカ・オーストラリアと日本では、パイロットに求める学歴の考え方が根本から異なります。
高卒訓練が「当たり前」の世界
- 高校卒業後すぐフライトスクール入学が一般的
- 採用基準は学歴より飛行時間とライセンス
- 「学位は飛びながら後で取ればいい」が普通の感覚
- 航空会社の採用に大卒要件がないケースも多い
- 若いうちから時間を積んだパイロットが評価される
「大卒前提」が根強く残る市場
- 大手エアライン自社養成は大卒以上が事実上の前提
- 学歴フィルターが採用プロセスに存在する
- ただし外資・LCC・地方航空・チャーターは別の話
- 帰国後の就職は飛行時間の積み方次第で大きく変わる
私がカナダやオーストラリアで実際に目の当たりにしたのは、教官の若さだけではありませんでした。ある航空会社の現場で、私は完全に度肝を抜かれました。
キングエア B200のFO——21歳、飛行時間320時間
Buffalo Airwaysの現場で私が目にしたのは、キングエアB200のFO(副操縦士)として乗務する21歳のパイロットでした。飛行時間はわずか320時間。日本基準では「訓練中」の水準です。
これがカナダの現実です。彼らはそこから飛行時間と経験を積み、チャーターやエアラインへとキャリアを積み上げていきます。受け皿と教育環境が整っているのがカナダの特徴であり、若いパイロットが実際に空を飛びながら成長できる仕組みが機能しています。
一方で正直に言います。日本に帰国しても120%就職できません。それはなぜか。ログブックの中身とPIC(機長)時間の積み方を逆算せずに訓練を進めているからです。何時間飛んだかではなく、どんな時間をどう積んだかが全てです。
それでも若さは圧倒的な武器です。整った環境でリスクを負って挑戦するのか、環境も制度も整っていない日本でいつまでも燻るのか。ここで答えが出ない人は、挑戦しないほうがいい。だって”君はそんな優秀じゃないから”。
問題は学歴ではなく、どこで何時間積むかの設計だ
カナダ・アメリカ・オーストラリアでは、学歴コンプレックスは武器になります。「高卒だから」と悩む時間があるなら、1時間でも早くフライトスクールの門を叩いてください。世界基準で動けば、日本の学歴フィルターは関係ない世界が広がっています。
若さと覚悟があれば、今すぐ動ける高卒で動くメリットとデメリット
高卒でパイロットを目指すことには、明確なメリットとデメリットがあります。どちらも正直に書きます。感情論ではなく、構造で整理してください。
✈ メリット
年齢の先行優位
大卒ルートより4年早くスタートできます。24歳でCPL取得と28歳でCPL取得では、その後に積める飛行時間が根本的に違います。航空業界において年齢と時間は完全に連動しています。
飛行時間の圧倒的な先行
1年早く始めれば200〜300時間の差が生まれます。この差はエアライン就職時に明確に効いてきます。時間は積み重ねるものであり、後から取り戻すことはできません。
キャリア設計の自由度
日本に戻る・戻らないを含め、選択肢を全部持ったまま動けます。現地でCFIになる、チャーターに就く、エアラインに進む——どのルートも20代前半から設計できます。
若さが圧倒的な武器になる
現地の教官・航空会社関係者は若いパイロットを好意的に見ます。失敗を取り返せる時間があるということは、それだけでアドバンテージです。若さはいつか必ず失われます。
⚠ デメリット
英語力の壁
高校卒業時点では、実戦で使える英語力に届いていないことがほとんどです。フライトスクールでの訓練・教官とのコミュニケーション・無線交信——全て英語です。渡航前の準備が必須です。
精神的自立の問題
社会経験ゼロで海外に出ることになります。メンタル管理・自己管理・問題解決が全て自分にかかります。学校でも家族でもなく、自分で動かなければ誰も助けてくれません。
資金調達
親に頼れる限界があります。奨学金・ローン・自己資金の設計を18歳から考える必要があります。訓練費用は700〜1,500万円規模。計画なく突っ込むのが最も危険です。
日本の大卒資格がない
自社養成の一部や日系大手エアラインへの就職ルートが狭まる可能性があります。ただしそれは「日本に戻る前提」の場合の話です。世界基準で動くなら学歴フィルターは関係ありません。
デメリットは全部「準備で潰せる」。
メリットの「時間」だけは絶対に買い戻せない。
英語も・メンタルも・資金も、準備と戦略で対処できます。しかし失った4年間は永遠に戻りません。何をどう準備するかより、いつ動き始めるかが最初の問いです。
社会経験のなさは「盗む力」で埋めろ
高卒で海外に出る最大の弱点は社会経験のなさです。でもこれは唯一、行動で完全に潰せるデメリットです。知識は勉強すれば追いつける。経験は時間をかければ積める。でも先人の経験を根こそぎ奪う姿勢がなければ、どれだけ時間をかけても同じ場所に立ち続けます。
先輩教官から盗む
現地の教官は元パイロットか現役パイロットです。授業時間以外の雑談・フライト後の会話・ブリーフィングの空気感——全部が教材です。質問しない訓練生は確実に損をしています。「なぜそう判断したか」を聞ける人間が5年後に差をつけます。教官はあなたが思っている以上に、真剣に聞いてくる訓練生を覚えています。
先輩訓練生から盗む
自分より1年先を行く訓練生は、今の自分が直面する問題を全部経験済みです。どのチェックライドでつまずいたか、どの教官と相性が良かったか、生活費をどう管理したか——全部聞いてください。先輩は教科書ではなく生きた一次情報です。遠慮している時間は無駄です。
圧倒的な恥知らずであれ
英語が下手でも話しかける。わからなくても手を挙げる。間違えても笑い飛ばす。この「圧倒的な恥知らずさ」が、語学力よりも先に現地での信頼を作ります。黙って正確にやろうとする日本人の癖は、海外では単なる存在感のなさです。下手な英語でも積極的に動く人間の方が、圧倒的に早く信頼されます。
ある意味で「まだ若いから」は逃げや責任転嫁になります。ただし使い方によっては「まだ若いんで。すみません。」で通用します。甘えではなく、どう振る舞うか——そして学んだことをどう自分に取り込むかがセットで必要です。若さをカードとして使える期間は限られています。使うなら今です。
まず「PPL」から動き始める
どのルートを選ぶにしても、最初のステップはPPL(自家用操縦士免許)の取得です。高校在学中から訓練を始めることも可能です。動き出すのに早すぎるタイミングはありません。まずPPLについて理解するところから始めてください。
パイロットを目指す高卒者に本当に必要な3つの能力
高校生のうちから就職率だとか取得率だとかを気にする前に、大切なことの方がたくさんあります。技術は訓練で身につきます。問題はその前提となる資質です。現場で見てきた経験から、これがないと厳しいという3つを正直に書きます。
語学力
英語ができないと訓練が進みません。無線交信・教官とのコミュニケーション・チェックライドの口頭試問——全部英語です。ただし「ネイティブ並み」は不要です。必要なのは「伝える・聞き取る・確認する」の3つができること。これさえできれば動けます。
- 渡航前に最低限の土台を作ること
- 航空英語特有の表現・フレーズは別途学習が必要
- 「完璧な英語」より「積極的に使う英語」の方が評価される
対話力
語学力とは別の話です。言語が通じても対話できない人がいます。自分の状況を正確に伝える・わからないことを素直に言える・相手の意図を確認できる——この3つが対話力の核心です。日本人が苦手な「曖昧なまま進む」を海外では絶対にやってはいけません。
- 「わかりました」と「理解しました」は違う。確認を怠らない
- ブリーフィングで黙っている訓練生は信頼されない
- 状況報告・問題共有を先手で動く習慣をつける
圧倒的な恥知らずさ
これが一番重要です。下手でも話す。間違えても続ける。恥をかくことを恐れない人間が、最終的に一番伸びます。完璧を待っていたら何も始まりません。「まだ準備ができていない」は永遠に続く言い訳になります。
語学力は後からついてきます。対話力も場数で鍛えられます。でも「恥をかく覚悟」だけは、誰も代わりに作れません。今日から鍛えられる唯一の資質です。
- 間違えることより、黙っていることの方がずっと損
- 下手な英語でも毎日話しかける人間が最速で伸びる
- 「恥ずかしい」は日本にいる間に捨ててくること
CPL取得後のキャリアロードマップ
CPLを取ればパイロットになれる、ではありません。CPLはスタートラインです。その先に何時間をどう積むかで、エアラインへの道が開くかどうかが決まります。ゴールから逆算して設計してください。
ライセンス取得フェーズ
PPL・CPL・IFR・Multi-Engineを順番に取得します。ライセンスを揃えることがまず最初のゴールです。ただしこれはスタートラインに立っただけです。
CFI(飛行教官)として就職
現地フライトスクールでCFI(飛行教官)として就労します。時間を積みながら収入を得られる最も効率的な方法です。教えることで自分の技術も固まります。カナダ・アメリカでは高卒・若手パイロットの王道ステップです。
チャーター・貨物・地方航空へ
チャーター便・貨物・地方航空会社で実際の運航経験を積みます。PIC(機長)時間をここで積むことが、次のステップへの鍵になります。ログブックの中身をどう設計するかがここで問われます。
リージョナル・LCC・大手エアラインへ
リージョナルエアライン・LCC・大手エアラインへの応募資格が整います。ここまで来れば学歴ではなくログブックの中身で勝負できます。高卒でも飛行時間と実績があれば対等に戦えるのが世界基準です。
よくある質問
高校生・高卒でパイロットを目指す方からよく寄せられる質問をまとめました。
現時点では大卒以上が応募条件のため、高卒直後の応募は難しい状況です。ただし外資系・LCC・チャーター航空からキャリアを積んでANAやJALに転職したパイロットも存在します。最初から諦める必要はありませんが、ルートを正確に理解したうえで動く必要があります。
ゼロの状態で渡航しても訓練は始められますが、英語学習と飛行訓練を同時にこなすことになり、どちらも中途半端になるリスクがあります。渡航前に最低限の土台を作っておくことを強く推奨します。高校在学中に英検3級を最低限目指してください。まずは英語の試験に慣れることです。 → 航空英語について詳しくはaviation-english.jpへ
できません。受験資格に大学2年修了(62単位以上)が必要です。高校卒業直後の受験は不可です。目指す場合は大学進学との2段構えで計画する必要があります。
パイロット留学の場合、700〜1,500万円が目安です。ルートによって大きく異なります。私大航空学科では3,000万円前後、海外DiplomaルートではDiploma費用込みで900〜1,500万円程度です。詳細は費用詳細ページをご確認ください。 → パイロット留学の費用詳細はこちら
あります。英語の準備・資金計画・PPL取得・フライトスクールのリサーチ——全部今日から動けます。特にDiplomaプログラムへの進学を考えているなら、高校在学中にPPLを取得しておくことで入学時の選択肢が大きく広がります。早く動いた分だけ有利になります。 → Transport Canada|PPL取得条件(公式)
飛行時間を効率よく積みたい・海外でキャリアを築きたいならカナダです。国内で完結させたい・自社養成を視野に入れているなら日本の私大ルートが選択肢になります。ただし費用と時間の両面でカナダに優位性があることは事実です。どちらが正解かは目標と資金と覚悟次第です。
高校生・高卒からパイロットを目指す方へ。
まず話を聞かせてください。
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Last Updated: 2026.06.08








