パイロットと心理的安全性

皆さんは心理的安全性という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
心理的安全性とは「ミスをしても責められない」「自分の意見を自由に言える」「周囲から拒絶される心配がない」といった「精神的安心感がある」ことを指します。こちらの書籍をお読み下さい。
今回はパイロットと心理的安全性というトピックで書いていきますが、航空業界にとどまらず日本の多くの企業では実践されておらず、それが令和の次第でも「パワハラ」「セクハラ」「モラハラ」などがあとを絶えず、退職者や精神的苦痛を味わう人がいるのです。
この心理的安全性は職場環境をよくし、航空業界においては事故を未然に防ぐことができます。事故や不足事態の原因は現場だけでなく、思いもよらぬ場面で起きており、それが結果として悲惨な結果を生んでいることは歴史も明らかにしています。

✈ パイロットに心理的安全性が必要な理由

心理的安全性（Psychological Safety）とは、「自分の考えを自由に話せる」「ミスをしても責められない」といった精神的な安心感を指します。航空業界においては、パイロットの心理的安全性が事故の未然防止やチームのパフォーマンス向上に直結します。心理的安全性が欠かせない4つの理由

ヒューマンエラーの早期発見： 副操縦士が機長のミスを指摘できる環境が安全を守る。
CRM（クルー・リソース・マネジメント）の実効性： 上下関係ではなくチームワーク重視の運航に不可欠。
ストレス・疲労の自己申告： 無理なフライトを避けるためにも正直に言える環境が必要。
教育・訓練の質の向上： 若手パイロットが質問や相談をしやすくなり、成長が加速する。

心理的安全性を損なう要因

質問しづらい雰囲気：まだ新人なのに何もわからず意見を言うな。
威圧的な態度の上司：常に上から目線で他者への思いやりがない
ミスへの過度な非難：ミスの原因を追及するのではなく、激しく叱責
年功序列による発言権の格差：たかが数年早く生まれたくらいで天下の気分。

心理的安全性を高める取り組み

対応策	具体例
フラットな関係性	機長も自分のミスを率直に認める文化づくり
デブリーフィング	フライト後に全員で振り返り、意見を共有
トレーニング	CRMや心理的安全性に関する教育の制度化
通報制度	匿名で報告できるセーフティレポート制度の導入

結論

心理的安全性は、パイロットの心の健康を守るだけでなく、航空業界の安全文化を支える柱です。今後ますます多様化・国際化が進む航空チームにおいては、心理的安全性を重視した組織風土が不可欠です。
また、このパイロットの心理的安全性は機長や上司に目が行きがちですが、くれぐれもそうではありません。
昨今は若い世代とのコミュニケーションがうまく取れず「注意したらSNS」に書かれるかも「さっきはかなり安全に影響する行為だったけど注意したらパワハラと言われるかも。」などベテランで経験のあるパイロットほど、そのような考えに陥ることも多々あるのです。
大切なのは他者を思いやり、意見を尊重し合い、意見が合わないから敵ではなく、違う視点で意見を出してくれる人だと言う考え方も必要なのです。仕事や安全は好き嫌いで絶対にやってはいけません。
中にはとんでもない上司はいます。そう言う人は「遠慮なく晒しましょう。」
心の健康が安全運航の基本なのです。